染織工芸 ㈲辰田屋

洗い張り・仕立直しに関するお問い合わせ 電話:052(611)3735

失敗しない洗張り 注意点

洗い張りのできない品物やしない方がよい品物がありますので、ご注意下さい。

絹は、化繊のものよりも劣化が遅く、その寿命は50年以上と言われています。さらに言えば大島のように先染めのものは、定かではありませんが、100年はもつと言う業者もあります。

天然の繊維ですので、やはりその保管方法によって生地の寿命もかなり異なるのではないかと思います。絹は、よく呼吸していると言われるように湿度にすごく敏感です。ですから、タンスにしまいっぱなしにしないで、湿度の低い日や季節に時々は、湿気を抜くために陰干しなどすることが、袷の裏表のバランス保ち、絹自体を長持ちさせるコツだと言えます。

かなり、長持ちのする繊維なのですが、その強さは、カイコの質や生地に使われている絹糸の種類や量にも左右されます。昭和の40年代以前では、まだ質的に悪い品物も出回っていましたので、ものを見極めないと再生できないものもございますので、洗い張り専門店「辰田屋」まで一度、お問い合わせ下さい。

洗い張りの出来ない着物

①生地が劣化して、弱ってしまっている物

生地が劣化している物は、洗い張りすると生地が裂けたり、穴があいてしまいます。

仮に、洗い張りがなんとかできても仕立ての途中で糸こきをすると生地がよれてしまうものがあります。

●先ず生地を触ってみて下さい。たてに強めに少し引っ張ってみるとよれたり裂けそうになるものは、洗い張りするとまず、穴が開いたりさけてしまいます。見た目だけでは、解りませんが生地に触れて見ることは大事です。生地の薄さが分かります。*できれば、着用の時に目立たない下前の衿先などの生地を少し湿らせて、指先で少し強めにこするようにして生地の強さを確認しても良いです。

●裏地に綿やガーゼのような絹(ひどく黄色くなっています)を使っているようなものは、洗い張りに耐えられないものがよくあります。
逆に、生地の良いものは、裏地も良いものを使っていることがほとんどです。古いものでも裏地にしっかりとした正絹を使っているものは、先ず、大丈夫だと思います。

②洗い張り出来るが、検討の必要な着物

変色したシミ・大きなシミがある着物

大きさやシミの種類にもよりますが、黄色く酸化したシミのあるものは、簡単には落とせません。落とせるとしても高額な料金がかかるか、柄を書き足すなどして染料や金彩で隠すような方法をとるしか有りません。

料金面で考えるならば、それを見えないように隠して仕立てる方が、お得です。仕立て直したときに隠れる所にあるシミならばそれがベストではないでしょうか。

洗い張りに出すかどうか?判断のポイントですのでお気軽に見積もり依頼等ご相談下さい。

折り目の汚れのすじが消えない物

実は、よく着用されたきものに一番多いのがこの手の問題です。

●やけ汚れと言って縫い込み以外の表に出ている部分の汚れがひどくて、特に上前の脇線や衽付け、袖付けなどの線が洗い張りをしても黒っぽく汚れの線になって見える場合があります。

程度にもよりますが、このような場合は、身巾寸法などを広げると目立つため寸法は広げない方が良いでしょう。 色の薄いきものは目立つ場合が多いので注意。

●この手の問題は、洗い張りしてみないと汚れが、どのくらい落ちるかわかりませんが、あまり汚れのひどい物は、洗い張りをお勧めしません。ただし、汚れの程度を判断してそれでも良いと決めるのは、お客様です。

1.シミではなく、汚れがありそうか全体によく見る。

2.もし、汚れていそうなら一番汚れがひどくなる上前の衽付け線や脇線を少しほどいて中の縫い代との違いを比べるのがベストです。

3.あまり汚れの差がなければ、洗い張りしてキレイになる場合が多いです。

反物の巾の狭い物

洗い張りは可能でも反物の巾が足りなくて裄丈が取れないものがあります。

昔と今の日本人の体形の変化、今の方は昔より裄「手の長さ」を長くしてお召しになる傾向がございます。昔の反物は、現代の反物よりも幅が短いので注意が必要です。

化繊の生地を使用した品物

・誠に恐れ入りますが、当店では、化繊の品物はお仕立てしていません。ミシンで仕立てられている物が多く、洗い張りしてもミシン目が残っていたり、縫い代が取っていないものがあるため仕立て直しできないからです。

・最近は、正絹と見分けがつかないようなものが、よくありますが、このようなものは、裏地にも化繊を使っていますので、ご確認下さい。

縫い込みの中にシミやキズが隠されている物

・洗い張りしてみないと分からないものが多いのですが、隠れている場所は、縫い代の中、特に共衿の中と内揚げ(胴の縫い込み)の中ですので、何回も洗い張りして作り替えたものでなければ問題ありません。

色やけのある物

・まれにですが、表に見えている色と縫い代になっている所の色がひどく違ってしまっている物があります。程度にもよるのですが、このようなものは、特に、紫系とグリーン系に多いので注意が必要です。

以上経験の中で問題になる事をあげてみましたが、比較的新しい物には、少ない問題です。ですが、古い物も魅力のあるものは、沢山ございます。なんとか生かしてゆくためには、その生地を愛情を持って見てあげられることだと思います。